つらい頭痛に、鍼灸というやさしい選択を ②
- 凛鍼灸院
- 4月19日
- 読了時間: 3分
更新日:5月14日
今回は、頭痛の中でも緊張性頭痛と片頭痛の2つについて詳しく説明します。
【緊張性頭痛】
~デスクワークの方に多い・首・肩こりからくる痛み~
頭をギューッと締め付けられるような、鈍い圧迫感が特徴です。
特に首・肩・背中残りが強いときや、長時間のパソコン作業後に感じる方が多く、午後から夕方にかけて悪化しやすい傾向があります。
◇原因は?
・筋肉の緊張(首・肩・頭周囲の筋肉)
・血流の悪化
・ストレスや精神的緊張
?姿勢の悪さ(猫背、前かがみ)
・眼精疲労
◇鍼灸でどう良くなるの?
鍼灸は、緊張性頭痛の原因に多面的にアプローチします。
・凝り固まった筋肉をゆるめ、血流を改善
・自律神経を整え、ストレスを軽減
・脳内で痛みを抑える神経伝達物質(エンドルフィン)を増やす
◇一般的によく使われるツボ
・風池(ふうち)・天柱(てんちゅう):首の後ろのこりに
・肩井(けんせい):方の緊張をゆるめる
・合谷(ごうこく):頭部の血流を促進する万能のツボ
◇エビデンス紹介
・2016年のCochraneレビューでは、「緊張性頭痛に対する鍼灸治療は、痛みの頻度や強度の軽減に有効」と報告されました。薬物治療よりも副作用が少なく、慢性頭痛の長期多岐な対策として有効とされています。
論文タイトル:Acupuncture for tension-type headache(緊張性頭痛に対する鍼治療)
著者:Linde K,Allais G,Brinkhaus Bほか
掲載誌:コクランシステマティックレビュー
発表年:2016年
【片頭痛】
~ズキズキと脈打つ痛み、女性に多いタイプ~
頭の片側(または両側にズキンズキンと脈打つような痛みがあり、はきっけや光・音への過敏反応を伴うことも。月経周期や天候の変化に影響されやすく、20~40代の女性に多く見られます。
◇原因は?
・脳の血管拡張と収縮の異常
・セロトニン(神経伝達物質)の変動
・自律神経の乱れ
・ストレス・睡眠不足・ホルモン変動
◇鍼灸でどう良くなるの・
辺ずつは、西洋医学では鎮痛剤やトリプタン製剤が使われますが、予防的なアプローチが難しいケースがあります。
鍼灸は次のような点で効果を発揮します。
・セロトニンの分泌を安定させ、発作の頻度を減らす
・ストレス耐性を高め、誘因を抑制
・血流の調整作用により、脳血管の異常な反応を抑える
・慢性的な片頭痛の“体質改善”として作用
◇一般的によく使うツボ例
・太陽(たいよう):こめかみの痛みを和らげる
・内関(ないかん):自律神経を調整し、吐き気もケア
・百会(ひゃくえ):頭の中心、気のめぐりを整える
◇エビデンス紹介
・2020年のRCT(ランダム化比較試験)では、痛みのスコアが優位に減少し、発作の持続時間も短縮されました。副作用も少なく、片頭痛の安全で即効性のある治療法として注目されています。
論文タイトル:Effect of electroacupuncture on acutemigraine:a randomized controlled trial
(急性片頭痛に対する電気鍼の効果:無作為化企画試験)
著者:Zhao L,Chen J,Li Yほか
掲載誌:BMJ(英国医師会雑誌)
発表年:2020年
・WHO(2002)や米国国立衛生研究所(NIH)も「片頭痛に対する鍼灸の有効性を認めている」と記載しています。