なぜ今、世界で鍼灸が注目されているのか ~心のケアと鍼灸~
- 凛鍼灸院
- 5月7日
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先日「精神看護」という専門誌にとても興味深い特集が載っていました。
タイトルは、「なぜ今、世界で鍼灸が注目されているのか」
「えっ、鍼灸が“肩こり”や“腰痛”に効くものじゃないの?」ッと思った方も多いかもしれません。
でも実は、心のケアにも鍼灸が役に立つかもしれないという話が世界中で注目されているんです。
【鍼灸が「心」に効く⁉世界を驚かせた研究】
例えば、イギリスではうつ患者750人を対象にした臨床試験(MacPhersonら、2023)では、鍼灸+通常ケア群、カウンセリング+通常ケア群、通常ケアのみの3群で比較されました。
結果は、鍼灸群が3ヶ月目にはうつ症状が有意に軽減し、その効果は6か月・12ヶ月後も持続していました。
【科学的にも明らかになる“こころとからだ”のつながり】
鍼灸によって脳の活動が変化することがfMRIを用いて研究で明らかになっており、特に「島皮質」や「偏桃体」など情動やストレスとかかわる部位が活性化・抑制されることが報告されています。これは、鍼灸が「心身相関」に働きかける可能性を示唆するものであり、精神医療における補助的な選択肢として注目されています。
【子どもにも、心のケアとして鍼灸を】
実際に、起立性調節障害(OD)を抱える10歳の男児に対しても、鍼灸が用いられた症例が報告されています。
学校に行けず、夜も眠れずに悩んでいた子供に対して、東洋医学的観点から「肝の病」として刺さない鍼(てい鍼)でアプローチを行い、丁寧に触れる施術を継続することで、少しずつ身体と心のバランスが整い、不登校の改善につながっていきました。
また、子供だけでなく母親の不安や不調を鍼灸で改善することで、家庭が安心できる居場所となれば、子供の症状改善もより速やかになるとの見解も述べられています。
その他に、不登校の親の集まりなど社会的資源の情報提供や食養生など多方面からの援助も忘れてはならないようです。
鍼灸がもたらすのは「治療」だけではなく「つながり」
鍼灸の施術は、ただ症状を和らげるだけでなく、「安心」「信頼」「ふれあい」と飯田、患者さんと施術者のあたたかい関係性をはぐくむ手段にもなり得ます。薬では届かない“身体の声”を丁寧に聞き取り、肌に触れながら体の内側から調子を整えるこの伝統的な療法が、今改めて見直されているのです。